釣りをしない日々

考えてみると、平成29年の11月以来、もう三年近くヘラブナ釣りをしていない。

それほど多忙だったわけでもないけれど、他にしたいことがあり、自然とそちらに時間が費やされたのである。

そうして、釣りをしないことで何か不満が生じたかというと、ほとんどそれも覚えなかった。


これを鑑みても、「釣り」自体は、やはり今の私にとってはさほど大きな位置を占めてはいないということなのだろう。

さすがにこの間、新たな竿を購入することはなかったが、一方、今所有しているものを手放してしまおうか――といった考えもまた、念頭にはまったく浮かばなかった。

私の興味は、以前からおぼろに感じていた通り、釣りそのものよりもその道具、紀州へら竿にあるに違いない。

とはいえ、無論釣りが嫌いなわけでもないので、実は昨年末あたりから、そろそろまた出かけてみようかという気持ちになっていた。


現在私の住んでいるのは、標高1700mを超える位置にあり、へらぶなよりも、イワナを釣る方が手軽な状況にある。

そんなことから、去年の終わりに、こちらの釣りも始めてみようと、テンカラ釣りの情報を集め、ロッド・ライン・フライなど、必要な道具を一通り取り揃えた。

ヘラブナ釣りにはかなり山を下りる必要があるのはもちろん、渓流釣りについても、近くの川はほとんど涸沢になっているので、高度を落とす必要がある。

何とも妙な話だ。


さて、道具を用意したのはいいが、渓流釣りはすでに禁漁期に入っており、へらぶなの方も、よく行く湖は結氷が始まっていたため、どちらも今年の春を待っていた。

そこへ今般の新型肺炎騒ぎである。

いわゆる三密の状況下で行うことではないから、釣りに大きな危険があるわけではないけれども、気勢を殺がれたことは間違いない。


で、結局今年もまだ一度も釣りをしていない。

渓流釣りは九月いっぱいでまた禁漁となるし、コロナウィルスの方もまだ当分消えそうもないので、果たして釣りをするのはいつになることやら。

それまではここへ記事を上げながら、手持ちの竹竿を眺めて過ごすことにしよう。

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